「じゃあ、行ってきますね」

「はい。楽しんできてね」


キョウコさんの運転する車に乗って、サキさんが出かけて行った。

今日は、隣町まで民謡を聴きに行く日。

居間のカレンダーに書きこまれたその予定を、何日も前から楽しみにしていたサキさん。

昨夜、『昔のだけど』なんて言いながら、押し入れの奥から夏らしいスカートを出してきた。

それをあたしに見せて、はにかむように微笑んだその姿はとっても可愛らしくて、ほわっと暖かな気持ちにさせられたの。

サキさんの若い頃って、めちゃめちゃ可愛いかったんだろうな……って、そんなことを思った。