高校生活も1週間が過ぎ、
すでに授業は通常営業。
となりの朝倉は、
校舎で迷子になる事も無く
授業に参加している。

ただ、昼休みになると
教室で弁当を食べることもなく
食堂で食べる姿を見る訳でもない。
また、同級生と話す姿もない。
正確には、話しかける前に
教室からいなくなるのだ。

そんな感じで、入学式以来
朝倉と話すことはなかった。

「沢田くん。」
「ん?」
「悪いんだけどさ、このプリント朝倉さんに渡してもらえるかな。」
「ん?普通に本人に渡せばよくね?」
「そうしたいけど、朝倉さん授業が終わるとすぐに居なくなっちゃうから。渡すタイミング無いんだよ。だから、となりの席にいる沢田くんしかチャンスないのよ」

「あぁ、確かに尋常じゃないくらいのスピードだからな。。」
「しかし、あんなんじゃ、友達百人できないよな」

「あれ、友達はいるんじゃない?別のクラスみたいだけど。」

「別のクラス?」
「って、ことは新組か。新組とうまくやっているのか。」
「そう、そう。新組の人と4人で放課後に中庭にいたのを見たから。」

「あいつ、友達が新組だから、新組に行きたいのかな?」
「あれ、沢田くん、もしかして新組に憧れている訳??」

「おれ?いや、どーちでもいいかな。もう、このプレハブにも慣れたし、ひっそり生きていくには、ちょ〜どいいよ。」
「へー、珍しいね。新組に憧れないなんて。」
「そうか?学級員の安佐路でも新組憧れんのか?」

「それはそうよ。あんなに設備が違うと、授業の内容も違ってくるし、空調も完備されて、新築の匂いもするし。せっかくの高校生活よ。それに、学級委員はくじ引きなんだからね!なりたくて、なったわけじゃないからね!」

「はいはい。そーです。そーでした。クラスもハズレで、クジにも負けてしまう安佐路さんよ。」
「いじわる〜〜」
「ともかく、プリントよろしくね!」
「へい、へーい」