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その夜、藤川家の縁側


「伽羅ちゃんのお兄さんは…半年前、交通事故で亡くなったのよ」


手に持っていた林檎酒を縁側に置き、茜は話しを切り出す。


「……ああ。一宮和季、俺はあいつの副担任だった」

青磁は眼を細め、燻る煙草を唇から離す。



「え? じゃあ、前に〝俺の学校に親戚がいた〟とかあんた言ってた、その子が和季君だったってわけ!?」


「ああ、でもまさか一宮から聴いていた妹が、伽羅ちゃんだったとは」

「今まで面識なかったからね。伽羅ちゃ達のお母さん……伽代さんは仕事忙しい人だし。それに、」


茜は林檎酒を一口飲み、喉を潤す。