ひらり、ひらりと、舞い散る桜、


相変わらず、縁側に横になっている時間は多いけれど、


ご飯を美味しいと、
人の笑顔が嬉しいと、


思えるようになってゆく。



「きれい……」

夕暮れの桜を眺め、私は小さく呟く。
 

すると、縁側のすみで煙草をくゆらせていた青磁先生が、思い立ったように、立ち上がり、

「茜姉! 茶と、なんか菓子ある?」
 
と、部屋の中に入って行き、声を掛ける。


「はぁ?お茶とお菓子?
探せば何かあると思うけど……
何、お腹空いたの?
もうすぐ夕飯だから、待っててっ」
 

遠くで、台所の方から茜さんの声がした。