「お疲れさまでしたぁ」





とーやクンに会った日から1週間。

シトシトと雨の降る梅雨も明け。

夏本番、太陽の季節がやってきた。





…私があの日感じた“ドキドキ”は。

もう遠いものになっていた。





…今日は早番。

明日は公休で明後日遅番という。

予定はないけど若干テンションの上がる休みの前の日。





残業も終わって帰ろうとした時。

…それは起こった。





「ゆーずチャン」

「お疲れー、どしたの?」





更衣室には、早番でとっくにあがったはずの沙保。

沙保はニッコリ笑って言葉を発した。





「柚のこと待ってたんだよん」

「え?」





…待ってたんだよん、って…。

なにこのわざとらしい笑顔。

ゾクリ、と背中に悪寒が走る。

これはなにかあるんじゃ…。

いや、なにかある。

なにか企んでいる。

私が怪しんでることなんて知るはずもない沙保は。

笑顔のまま言葉を続けた。