「あと半分ってとこか」


「もう、お昼時だし、だんだん人が少なくなってきたわね」


そんな平凡な会話が続くあーちゃん達に比べて……


「おい、そんなに怖いなら入らなくてもいいんだぞ?」


「だ、大丈夫……」


あたし達は、いや、あたしは平凡な会話どころか言葉を交わすことも、まともに出来ない。


順番が近くなってきたからか、ホラーハウスの中からは不気味な悲鳴が聞こえてくる。


それにつれて、だんだんと手に汗をかきはじめる。


な、なんでこんな悲鳴が聞こえてくるのに、この3人は普通の顔でいられるんだろう……


どうしよう……


めちゃくちゃ怖い……


ヤンキーに絡まれるのとは比べ物にならないくらい怖い。


俯いていた顔を上げる。


近くで見るとますます怖いホラーハウス。


家一面に張られた蔦や、古くなってできたようなシミなどがまるで本物みたいによく出来ている。


実在していたものを再現したってあーちゃんは言っていたけど、もしかしてそれは本当なのかもしれない。