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 冬我の話を聞いている内に山道は下り、目の前に広い民家が広がっていた。


「……ついた」


 沙耶香がそう呟き、ようやく幸也の手を離した。


 冬我はネコとの出会いをまだ真剣に話していたが、辺りの景色を見ると自然と静かになった。


「幽霊の携帯電話。その噂の発祥の地だ」


 一番前に立って歩いていたネコが振り返り、そう言った。