今日は金曜日ともあって、近所にある居酒屋の前を通れば一層賑わい感じさせた。



以前の俺は独り暮らしらしく、この店をはじめとして馴染みの店へ通っていたな…。



「あー、楽しみだなぁ」


「期待以上だぞ?」


自宅マンションまで目前になると、なおさら騒ぎ始めた暑い男に笑って言えば。



「プッ…、サラッと惚気んな」


「確かに、独り身相手に失礼か?」


「オイ、川崎!」


「ハハッ!」


自宅へと近づく度に気分が高揚していくなんて、独身時代には無かったことだ。



真咲の料理の腕前は身内びいきでなく、本当に下手な料理店より美味しいと思う。



そんな彼女は“お母さんが苦手だったから”と、必然的に覚えたと言うのだが。



何となく彼女のセンスと器用さが、プロ級の腕前へとのし上げた気がするけど…?