営業という職業柄、日々奔走しているといっても過言では無いのだが。



気づけばGELに勤めてから、どんどん日々に追われて月日が流れていた。



そんな淡々と過ぎていた毎日が、こんなにも色鮮やかになるとは・・・




「それじゃあ」


「うん、気をつけてね」


朝のラッシュ時間帯なので満員とはいかなくても、それなりに狭苦しい車内。



先に会社の最寄駅へ到着する俺が電車を降りる時、ソコで真咲とは別れるのが常で。



ニコッと笑ってひと声掛けてくれた彼女に、俺もまた小さく手を挙げて応えた。



こうして都合が合えば、俺たちは亜実ちゃんを送り届けてから通勤しているが。



アナウンスとともにプシューと音を立てて扉が閉まると、ゆっくり走り出す電車。



見送った俺は慌ただしい人の流れに乗るように、改札出口へと早足で向かった。




ストレートヘアで下ろした髪に、サマージャケットを羽織っていた今日の真咲。



亜実ちゃんを連れているからという理由で、普段はノー・ヒールで通している。



アノ恰好だけを見ていれば、普通に“綺麗なお姉さん”の雰囲気なんだけどな…?