眠る時はギュッと抱き締めて、目覚めた時に見せてくれる笑顔は恋しさを増す。



何気ない瞬間、それこそ一瞬ですら、愛は色をつけてくれるらしい・・・




「あ――、おはよ…」


何かくすぐったい感触に引きつけられるように、重い瞼を開いてみれば。



「ん…、はよ――」


どうやら俺の髪をイジっていたらしい、右手を宙を彷徨わせる真咲と目が合った。



「じ、時間!…そろそろ起きなきゃ」


そう言って慌てているが、俺が眠っている間にしていた事が後ろめたいのか。



うっすら目の下にクマが出来た顔を歪ませ、腕の中から逃げようとする彼女。




「待った」


「っ、な、なに…?」


宙を泳いでいた華奢な手をキュッと握って、その動きを封じ込めてしまうと。



ビックリした様子で目をバチバチさせる彼女に、ニッコリと笑い掛けた。