私は、
追われる声から逃れたくて、
男の車に、乗った。

車は、私を乗せると同時、その場から急発進した。


窓の外には、悔しそうな黒い男達の姿が、
遠くなる。



は、ぁー……

思わず、大きな安堵のため息が零れた。

た、助かったー… 

「助かったよ」

え?

心の声が、言葉で出たのかと思ったら、
声の主は、車を運転する煙草の男だった。


「キミが通りかかったおかげで、オレはアイツらに見つからずにすんだ」


え?
なに?

そ、それって……