「ちょっと待てよ」

香山君に断られ、泣きながら裏庭を後にしたら、後ろから香山君に肩を掴まれた。

私が肩をビクっとさせ、立ち止まると、香山君が私の顔を覗き込んで来る。

「見ないでください」

ぶざまに泣いた顔を、香山君に見られたくない…

香山君の手を振りほどくように歩き出すと、今度は両手で香山君に肩を掴まれた。

「待てって。そんな顔じゃ教室に戻れないだろ?」

「放っといてください」

私はとにかくこの場から逃げ出したかった。

「放っとけないよ」

「え?」

香山君の言葉が優しく聞こえ、私は思わず顔を上げていた。