少年は少年なりに必死にここまできた。

 父親のハミルに拒絶され、自分はいてはならない存在だと思った。

 しかし、ベリルはそれを激しく否定した。

 決めるのは誰でも無い、自分自身なのだと。

 自ら決めていかねばならない事なのだと──優しいけれど少し切なそうな瞳に見つめられ抱きしめられた時の、その温もりを今でも覚えている。

 出会って初めて声を荒げたベリルに、物静かな彼から多くの感情を感じ取った。

 普段、感情を表に出す事がなく、それが冷徹な性格だと誤解される事もある。

 そんな、冷静な中にあるベリルの激しい想いをダグラスは知った。

 自分は生きていいのだと思えた。

 いつか、ベリルの見た目を追い越してしまうだろう。

 それでも、死ぬまできっとベリルは「父さん」だ。