少年は乗ってきたオレンジレッドのピックアップトラックの助手席に乗り込みながら運転席のベリルに視線を移す。

「いい男は得だよねぇ」

「何の話だ」

 皮肉混じりの言葉に眉を寄せるが、その意味までは解ってはいないだろう。

 呆れるほどに自分自身に対して無関心なベリルが、注がれる好意にすぐ気がつける訳がない。

「なんでもない」

 自覚してチャラければこっちだってもっと安心していられるのにとダグラスはシートベルトを締めながらプイとそっぽを向いた。

 そうして店の多い通りまで車を走らせ、路肩に車を駐める。