朝の風景はどこの国でも変わらない──欧米風の家々が建ち並ぶ住宅街に小鳥のさえずりが歌うように響き、木々の葉についた朝露が揺れる。

 そんな街の一角で、

「ベリルのケチ!」

 少年はソファの背もたれをパコパコと小刻みに叩いた。

 重厚な革のソファと、それに見合った落ち着いた色のソファカバーが揺れる。

「お前にはまだ早い」

 青年はそんな少年に呆れて小さく溜息を吐き出した。

「早くないもん!」

 よく通る声にすぐさま切り返す。

 少年は不満げに頬を膨らませ、ソファに腰掛けている二十五歳ほどの青年を見つめた。