「失礼しまーす」 そう呟いて科学室の扉を開けると、ある一つの陰が目に入った。 「あ……時東くん」 「……ゆき」 時東くんは私の姿を確認すると、スッと立ち上がって私に近付いてきた。 え……っ? 「時東く……」 「さっき藍沢がきて、今日も用事ができたそうだ。だから……」 「今日は二人きり」と、私の耳元で時東くんは囁いた。