休み時間というのは隣の席の奴と教師の容姿をバカにしたり昨日見たテレビ番組について談笑したり、授業間の息抜きというよりは、学校に来る目的に近く、それがあるから授業も受けていられるというようなそんな大切な時間だと僕は思っていた。



それがどうだろう。このクラスの連中は先ほどの国語が終わると一言も会話を交わすことなくすぐに机に手を突っ込み次の授業の教科書を引きずり出しそそくさと教室を後にしていく。なんだ。どうした、僕と一緒にあのバラエティ番組のあのシーンのあの芸人のあのどっきりのあの落とし穴について10分の休み時間を使用してくれる友達はいなのか。
・・というかまだ、知り合いすら居ないのだが・・・・


僕は転校生である。おとといこの東畑町にやってきて
今日この間引(マビキ)小学校に初めて登校した。
この街はいままで住んでいた街より、何割増しで都会だ。真上を向かなければ屋上まで見えない建物ばかりで息がつまりそうになる。

それに、転校生というものはいろいろ気を使うもので、自己紹介で上手く喋れなかったらどうしようとか、何日たっても友達できなかったら不登校になろうとかそんなろくでもない不安がさらに息を詰まらせる。やめてほしい。呼吸がしにくいったらない。
都会の子供はこんなに学校という機関に取り込まれているのか。学校ってのはもっとこう
「林くん、次の授業移動よ。音楽だから」