「どうしたの?」


服から体温が伝わりそうなほど、隣にピッタリと座り、優しく微笑みながら私を見つめる瞳。


手は、ずっと恋人つなぎ。


うれしいよ。


すごくうれしいけど、今は電車の中。


人の目が、痛い。


恥ずかしい。


顔が上げられない。


なんというか、止めてほしい。






遊園地で、なぜか家に行く事にした清水くんは、すぐに林くんに連絡して、先に帰る事になった。


『告白は、二人っきりで俺の部屋で聞くから。
まだ、聞いてはないけど、もう恋人だからな。』


と言われ、ずっと手を離してはくれない。


電車の切符買う時とか離そうとしたら、


『ダーメ。』


甘ーく耳元で、ささやかれてしまった。




「どうしたの?」


何も答えない私に、また甘い声。


車両に何人か、同じ中学校の人がいる。


私たちの中学校の、学区内にある駅に向かう電車。


同じ中学校の人が車両にいるのは、もちろんありえる事なんだけど。


「疲れた?」


つないでない手で、軽く頬をなでられる。


私がありえない状態なんです。