携帯どこやったっけ……。








今、移動教室から帰って来たんだけど、携帯がない。



『どうしたの?』


あたふたしている私を見て心配そうな顔をする唯。



「移動教室に携帯忘れたっぽい…」

『ついていこうか?』

「大丈夫っ、行って来るね」




急いで帰ってきた道を戻る。










教室に来たら、次の時間そこで授業を受ける生徒が2人来ていて、ちらほら他の生徒も集まりはじめていた。



「あ…」


最初に来ていた女の子2人はよく見たら同じ学年の女の子で。


確か…多田さんと矢部さんだっけ。





そして2人の手には見覚えのある携帯。






「それ…」


『あっ、これ坂倉さんのっっ?』


私に気付いた様子の2人は携帯を掲げて首を傾ける。



「うん、ありがとっ」


お礼はしたし、特に用事もないから帰ろうと思ったのに。








『あのさっ』

何か言いたげな言葉に足を止めて振りかえる。