【美和side】


――……。


麻実ちゃんたちが帰ってからどれくらい経っただろう。
ベッドに横になりながら麻実ちゃんの言葉を思い返す。

冬馬兄ちゃんと麻実ちゃんは兄妹。全然似ていないのに、それが事実…。
だから二人は会っていたし、笑い合っていた。
兄妹だから、気兼ねなく…。

でも。
もっと早く言ってくれていたら。


「…私は事故に遭わなかった…?」


…そんな気持ちが拭えない。
私、「麻実ちゃんは悪くないよ」って言ったくせに…心の奥底では憎んでる。
体の傷自体は浅い。だけど、記憶は失ったまま戻らない。

…自分が逃げ出したからこうなったのに、麻実ちゃんたちのせいにするなんて…最低だ。
本当は全部私のせいなのに…。


心が苦しい。
今まではごく自然に話していたのに、これから先、私は…どう話していけばいいかわからなくなっていた。


「美和、入るよ」


コンコン、とノックする音と優しい声。
冬馬兄ちゃんがドアを開けた。