「やっぱり気持ちいぃ~」


お昼までミルク風呂だったお湯は、すっかりピンク色のイチゴ風呂に変わっていた。


このお湯、すごいい香り。

本当にイチゴミルクのお風呂に入ってるみたい……。


……飲めるかな?


あまりにもいい匂いがするから確かめたくなって、あたしは手についたお湯を舐めてみた。


――ゴクンッ


……うげぇ。

しょっぱい。


やっぱりイチゴミルク味じゃないんだぁ……。


――まるで彼みたい。

いつも楓クンは、甘い香りであたしを誘惑するんだ。


あたしはふと楓クンのことを考えていた。


……最近、あたしに芽生えた気持ち。

楓クンのことをもっと知りたい。

どんな些細なことでもいい。

楓クンを知りたいと思った。


この気持ちって、やっぱり……


露天風呂から見える夜空の絶景を眺めていると


――ガチャッ


誰かが露天風呂へ入ってきた。


ふと振り返って、あたしは言葉を失った。