いよいよドラマの撮影まで1ヶ月を切ったところで、わたしはようやくレジーの口からそのドラマの詳細について聞くことができた。


「以前からシリーズ化されてた刑事ものなんだ。『ラボ』って見たことない?日本でもやってたと思うけど」


「あ、ある!わたし、そのシリーズ大好きだったの!」


思わず興奮して身を乗り出す。


『ラボ』は『研究室』という意味があるけれど、このドラマの舞台は警察内の研究施設―――要するに日本でいえば鑑識課のような機関のことだ。


『ラボ』の舞台はシカゴだが、このシリーズにはニューヨーク編やサンフランシスコ編があり、どれも人気シリーズだった。


もちろん日本でも放映されていて、わたしは全てのシリーズを見ていて一番のお気に入りはサンフランシスコ編だった。


主人公の『ジミー・ターナー警部』がとても魅力的だった。


鋭い観察眼、渋い語り口調、クールな物腰と一部の隙もないスタイル。


一見厳しそうなのに部下や信頼している人間には情が深く、子供に対しても思いやりがある。


そんなクールでホットな人間性にとても惹かれていた。


「その、ニューヨーク編の続編を今度スティーブンが監督することになったんだ」


わたしは驚きのあまり声が出なかった。


まさかずっと大好きで見ていたドラマに、自分が出ることになるなんて―――