振り返ってみると、 本当に長い道のりだったんだな、と思う。 「……とりあえず、大学を卒業してからですね」 やっと私から出した『OK』に、彼は微笑んだ。 笑う事に慣れていないようなその表情は、 とてもぎこちない。 だけど私は、 それが何よりも優しい顔だと知っている。