「やばいやばい!」


あれからあの男の事が頭から離れなくて、玄関に座り込んで気付けば10時!


九時半からの出勤に大遅刻!

慌てて用意して、頑丈に鍵をかけて、何度も確認してから


猛ダッシュで駅まで走って、地下鉄に途中乗り換えて、あたしの職場、携帯販売店にたどり着いた

「平原さん!今何時?あなた時計も読めないの!?」

チーフの佐藤さんが大の字に足を広げて、腕を組み、恐ろしい形相してあたしを待っていたらしい

「お、鬼みたい…」

思わず出てしまった言葉をぐっと飲み込んだ

「はあっ?!今なんて言ったの?大体あなたね、やる気あるのかしら、何回同じか事言って仕事は覚えられないわ、」


「ご、ごめんなさい!!今すぐ仕事にとりかかります!!




机の上の書類を確認していると、

「みーなちゃーん、遅刻なんて珍しいねー」


と声をかけてくれたのは、真由先輩だ

いつもあたしのへまを優しくフォローしてくれる

「今度はモーニングコールも必要なのー?まゆこれじゃあ、みなちゃんのママじゃん」


同僚がからかってきても

「みなちゃんは真面目だから、何か理由があって遅刻したんでしょー?ねー
、みなちゃん?」

まゆ先輩はいつも味方をしてくれる

「まゆ先輩…大好き!」

「はあ?何言ってんのー?」