リキは深いため息を吐き出すと、ベッドに転がる女を見つめた。

白い背中は警戒心まるで0。携帯をカチカチいじっている女がこちらを向いた。


「ほっぺ、どしたの」
「んー怪奇現象?」

「あはは、ウケる」

二言目には“ウケる”と言わないといけない義務があるのだろうか。

(……。)


「帰って」
「えー…?なんで、ミカ今日泊まるつもり」

自分のことを名前で言わないといけない法律であるのだろうか。


(あーあ、メンドイな)

(こいつ何っけ、ジョシコーの女だったか?それとも…?)


得体の知れない女と関係を持って、それを悪いとは思わない。

あれはいつだった…?リキはもう思い出せない。

陰を知るにはまだ若かった。