「何か…食べたいものとかない?」

あの日以来、母さんが妙に優しい。お見舞いにくる父さんも、ばあちゃんも、妹ですら優しい。

「ない」

もう、3日目になった、残り4日。今まで、こんなにも1日の大切さを感じたことがあっただろうか?無かったと思う。つまらない人生だったな……。

「そう、じゃあ、仕事があるから」

母さんが去り、寂しくなった病室。まだ……学校の友達は来ない………。



窓の外には夏らしい青い空と大きな入道雲。僕は毎日、空を見た。今までと変わらない、大きな空。空はいろんな顔を見せてくれた。僕が死んだら………僕は空の一部になれるだろうか?