ホテルに着き、パーティ会場へ向かう途中、タキシードやドレスで正装した人々とすれ違った。


その人達から、『時間の無駄だったな』とか、『藤堂家の恥』といった呟きが聞こえた。


「姉貴、間に合ったみたいだな!」


そう言って涼がガッツポーズをした。


パーティ会場に入ると、大勢の人でざわついていた。

入口付近で呆然としていると、眼鏡を掛けた神経質そうな男性が私達に近付いて来た。


「失礼ですが、渡辺涼さんではありませんか?」


その人は涼に話し掛けて来た。


「はい、そうですが?」


「絆創膏で、もしやと思いました」


涼はまだ、顔に絆創膏を貼っていた。


「警視庁の高木と申します」