蘭子さんと電話をしたため、病院へ行くのが遅れてしまった。


「涼、遅くなってごめんね?」


走って来たので、ハアハアと息が切れる。


「大丈夫だよ、そんなに慌てなくても……」


「着替え持って来たから、早速着替えようか?」


「おお、サンキュー。えっと、う、痛え……」


涼は体のあちらこちらが痛むらしく、服を脱ぐのを手伝ってあげた。


体の至る所に湿布やガーゼが貼ってあり、見るからに痛々しい。


「かわいそうに……。ごめんね?」


「なんで姉貴が謝るんだよ?」


「え? あ、えっと……」


「あのさ……」


「なあに?」


「あ……、何でもない」


涼が何かを言いかけて止めた。

そう言えば、昨夜も拓哉さんに何か言いかけて止めた気がする。涼は何か隠しているのだろうか……


「そう言えば、さっき警察が来たよ」


「え? もう?」


「私服の刑事が一人で来て、犯人に心当たりはないかって聞かれて、『ない』って答えたら、『そうか』って言って帰っちゃったよ」