<レンside>

ふう。
勉強一段落。

昼飯を腹に入れてから、ぶっ続けで勉強をしていた。
これくらいしないと、飛び級は出来ない。

予定の時間より30分も早く終了した。

「あの、蓮太郎?
先、お風呂入るよ?」

「おー、いいよ。
オレは電話する用があるから、メイはゆっくり入って身体暖めてな。
ありがと。」

アメリカに来てから、何度かオレの家に泊まってくれた、近所の子。
業 冥《かるま めい》。

何だか一緒に住んでいる気分だ。

久しぶりに、アイツらに電話して、声が聞きたいと思った。

少し、気分転換もしないとな。

まずは、ミツに掛けてみる。

彼は5回目のコールで電話に出た。

……すぐに出てくれると思ったのに。

……何か、あったのか?

まずは中学校生活など、ありきたりの話題だ。

若あゆなどという校外学習があったのか。
集団を重んじる、日本ならではだな。

しかも、ミツがクラスのまとめ役とは。
ピッタリじゃないか。

あらかた、日本の公立中学校の話を聞いた後、本題に入った。

「何かあったのか?ミツ。
さっきから度々声が小さいからな。
いつもそうだよ?
ミツが考え事してるときは。」

しばしの沈黙。
長いぞ。

無言電話は勘弁だ。

『……帰ったら、オレのこと殴っていい。
ってか、一発どころか気の済むまで殴れ。』

そう言ってミツは、ゆっくり語り始めた。

ハナが3人組の男たちに犯されたらしい。
その後、ミツはハナに手を出した。

傷ついて泣いているハナをほっとけなかったらしい。

ミツも精通はまだだ。
ハナを万が一にも妊娠させる可能性はない。

それだけはホッとする。

「気にすんな。
オレは、帰ってもミツを殴ったりはゼッタイしないし。
お前は、ハナが負った傷をちゃんと癒してやったんだろ?
オレも、多分そうする。
その時ミツの立場だったとしたなら。」

『ハナにも連絡してやれな。』

そのつもりだよ。

『……また、電話する。
……何かあったら。』


「今回は、妊娠の可能性はなくて安心した。
だけど、万が一にも。
オレが帰ってきて、三角関係に決着がついて、そのときに身篭らせたら、そのときは遠慮なく殴らせてもらう。

お前のことだ、ちゃんとするだろうけど。」

『ああ、分かってる。
……お前も、元気でやるんだな。』

そう言って、ミツは電話を切った。