夕方近くにようやく彩子は帰って行った。ちゃっかり、俊と携帯の赤外線通信を交わして。
なんだか、すごく疲れた気がする。

「ごめんね、俊。彩子はいい子なんだけど、お喋りなところが玉に傷なのよね…」

「基本、いい人だよね。姉貴の事、ちゃんと気遣ってるし」

「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ。
私はこれから夕ご飯作ったりお風呂の用意したりするけど、俊はどうする?」

「先ずは部屋の片付けをするけど、風呂は俺がやる。分業で行こうよ?」

「いいの?」

「もちろん。俺が居候なんだから、出来る限り家事をやるよ。飯は…姉貴に任せるけどね」