ケータイ小説 野いちご

地味子の秘密*番外編*

◆2月14日・嫌いな日〜陸〜
├前編

――陸side――

年末の事件も落ち着いた2月初旬。

まだまだ寒い日が続いている中、今日も杏とふたり、西棟の3階……一番奥の人気のない
教室で穏やかな昼休みを過ごしていた。


隣に座っているコイツは、何やら藍鬼と一緒に雑誌を見ている。

壁に背中をつけて、足を伸ばし……その上に藍鬼を乗せていた。

なにしてんだ?

「杏ちゃん、僕、これがいいなぁ~」

「へぇ~藍鬼はこれ? う~ん、わかった」

気になった俺は、というか……藍鬼に杏を取られて悔しかったため、近づいてみることにする。

「お前ら、なに話してんの?」

ふたりが見ていた雑誌を横から覗き込んだ。

……“大切な人に贈りたいバレンタインチョコ特集”?

目に飛び込んできたのは、そんな見出し。

カラフルな文字が雑誌の一面に散りばめられていた。


「なに?陸も贈りたい人いるの?」

雑誌から顔を上げて、杏がそんなことを言う。

いやいやいや。そんなわけねーだろ?

バレンタインって、女が男に贈るもんだし。

つーか、俺に贈りたいヤツがいたら、お前イヤなんじゃねーのか?


「いねーけど……」


そう返すと、特にホッとしたというような様子もなく、「へぇ~そう」と、あっさり片づけられた。


表情からして、俺が誰かにチョコを贈ることをまったく気にしていない。


杏にとって、バレンタインチョコを贈りたい相手って、俺じゃねーの?


杏ちゃん……確認すっけど、俺、彼氏だよね。今年もらえるよね?



そう聞きたいが、返ってくる答えが怖くて聞けない。



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