そして、特別体育授業の時。

水着姿になった杏樹を初めて見た。

本当に高2か? というくらいずば抜けたプロモーションで、雅人とふたりで思いっきり凝視してしまった。


『これは、絶対に他の男たちに目をつけられる』


そう思った俺は、1日杏樹の近くにいて男たちを近づけないようにしていた。

杏樹には、煙たがられたんだが……。


そんな時に杏樹の胸元に見つけた、赤い印が見えた。


滝本陸がつけたことは一目瞭然。

その時、やっぱり諦めきれない気持ちと怒りが湧き上がった。



天然で、鈍感で、無自覚無防備のコイツが、俺の出会った女たちの中で、心を許せるヤツだったから。


どうしても、杏樹だけは欲しい。


あの滝本陸から奪うのは、並大抵のことではないとわかっていても、杏樹を諦めることはできなかった。


でも、杏樹と陸は、お互いに大好きで……俺が入る隙はなかった。