「あ、そう言えば……」
空とスケッチブックを交互に見ながら絵を描いていた先生が手を止めることなく、何か思い出したようにそう言った。
私は雲を見ていた目を先生の方に向ける。
「体調は?」
今度は絵を描く手を止めて、私の方を見てそう聞いてきた。
「はい?」
何で、いきなり体調のことを聞いてきたのかわからず、私は首を傾げて先生を見た。
先生は“体調は?”と聞くと、再び空とスケッチブックを交互に見ながら、止まっていた手を動かし始めた。
「昨日、頭痛で辛そうだったから、今日は体調はどうなのかな?と思ってな」
スケッチブックから目を離すことなくそう言ってくる先生。
あぁ、何だそういう事か。
先生が私の体調を聞いてきた答えがわかった。