雨宮さんと出会った河川敷から徒歩10分程度のところに私の家はあった。
閑静な住宅街。
そんな言葉がピッタリと当て嵌まるような、住宅街の一角に建つ洋風の小さな庭付きの家が、私が家族と住む家だった。
「ただいま……」
玄関を開けて、リビングまで聞こえないような声で一応、帰って来たことを告げる。
ローファーを脱いで上がろうとした時、リビングからエプロン姿の母親が出て来た。
「おかえり」
母親の言葉に何も言わず、目線だけ母親に向けた。
「さっき、担任の先生から電話があったわよ」
「そう……」
ローファーを脱いで上がり、母親の横を通って、自分の部屋に行くために2階に行こうと階段に足をかけた。