【龍馬サイド】


土曜日の昼過ぎ。


俺は俊平の部屋にDVDを抱えてやってきた。


「……これだけ?本当に全部持ってきたんだろうな?」


「当たり前だろ。約束したんだし」


「約束だと?俺は単車を貸した日から一週間以内に持ってこいって言ったんだ。それがもう一カ月近いじゃねぇか」


「それは色々事情ってもんがあんだよ」


どうやったら、お気に入りのDVDを俊平に渡さずに済むか考えてたんだよ!!


「お前の目が嘘臭い」


「バカ!この目は生まれ付きなんだよ。嘘臭いなんて言うんじゃねぇ」



「へぇ……」


俊平は疑いながらも、渋々DVDを受け取った。



「じゃあ、俺もう用済んだし帰るわ」


「何か用事でもあんのか?ずいぶん慌ててるようだけど」


そそくさと帰ろうとする俺に俊平は疑いの眼差しを向ける。


ヤバい、このままじゃバレちまう。


こいつは案外鋭い奴だ。


「まぁ、ボチボチ。じゃあな」


俺はヒラヒラと手を振ると、急いで俊平の部屋を飛び出した。