【優サイド】


「お疲れさん」


「……どうもありがとう」


目の前に差し出されたコーラを受け取りながら、僕は小さく頭を下げた。



「優、カラオケ屋でアルバイトしたら?」


美空にそんな話をされたのは3日前のこと。


あまり真剣に考えていなかった僕に、美空は「やってみれば?案外楽しいかもよ?」と何度も勧めた。


「美空はさ、何で僕にカラオケ屋のバイトを勧めるの?」


美空が今まで僕に何かを強制してきたことなんて一度もなかった。



不思議になって聞くと、美空は「友達と一緒にバイトするのって楽しそうでしょ?」と嬉しそうに答えた。