【美空サイド】



「美空、顔ヤバいよ?」


「……へ?」


「だーかーら、顔。ニヤけ過ぎてて気持ち悪い」


休み時間、涼子はあたしの顔を覗き込んで露骨に顔を歪めた。


「だってぇ……」


「そんなにその龍馬って男にハマってんの?」


「……うん」


「美空が一目惚れする位カッコいい男なら、あたしも見てみたいかも」


「んー……もうね、全てがカッコイイの」


思わずポロリと口から滑り落ちた言葉は涼子の耳にちゃんと届いていたみたい。


「のろけてんじゃないわよ」


涼子は机に頬杖を突きながら明らかにドン引きしていた。