「―――っ!!」


私は目を開けると同時に蒲団から飛び起きた。

いつの間にかかいていた汗が一滴、額から顎へとつたっていく。


久しぶりに昔の夢を見た。

いや、夢を見ること自体が久しいか。

私は夢を見ることはほとんどない。

なぜならば、ほとんど眠ることがないからだ。

身体と精神を休めるために目を閉じはするが、熟睡することはない。

眠っていても思考のどこかは起きていて、人が近付けば眠りの海から自然と浮き上がってくる。

まあ、そもそもこんな築何十年、6畳一間のボロアパートでは、隣人の気配が近くにありすぎる。

これでは、わずかな眠りも訪れることはない。

だから、夢を見ることなどあり得ないはずだった……。