それから数日後。


私と若菜ちゃんは、呼び出されて組長、つまりはハルの父親である輝【テル】おじさんの部屋にいた。



「サク、若菜、なかなか面白いこと考えたなぁ。未来の組長賭けて闘うとは、さすが極道の妻候補なだけある」


輝おじさんは、そう言って豪快に笑った。


輝おじさんとハルは、はっきり言ってあまり似ていない。

顔立ちから言えば、ハルは小さい頃に亡くなった母親にそっくりだし、性格もまったく違う。


輝おじさんは、確かに泣く子も黙る本物の極道だけど、その反面、遊び好きでお祭り好きでもある。

そんなおじさんだもん、今回の私と若菜ちゃんとの勝負についても、面白そうだから二つ返事で許可を出したってわけだ。



「組長、この状況、楽しんでるでしょ?」


私が軽く睨みながら言うと、輝おじさんは大きく首を振った。