【脱出の糸ー1】




難なく
部屋から出れた六人。






こんなとことは
おさらばして、
早くウチに帰らなくては







見張りに見つかると
厄介なので、
足音を立てずに
急ぎ走りをした。







だが、
そんなことをしなくても
誰か居る気配は
感じられなかった。






「…!出口やで」







永斗が言う先に
外の風景が見えるドアが
開いて待っていた。






「誰もいねえな…?
なんだ
この手薄な警備は…」







螢の警戒心も
勢いを抜かれていた。







ギィィ……







ゆっくりとドアを
開けるものの、
外にも見張りの者は
いなかった。







そして目の前は……






ザザーン!!







一面広まる夜の海。
月の光でさえも、
真っ黒な海が
全てを呑み込んでいた。







「無人島だってさ。
ここ」







また礼子が不思議な
ことを言い始めた。






でもそれは聞かなくとも
薄々感づいていた。






「だろうな……
じゃなきゃこんな手薄な
ワケねえ…

俺達はこの島に
幽閉されたってわけだ…」







そんな無人な島に、
上の方にデカい建物が
あるのが見える。







「さっき
『ようこそ私の施設へ』
…っと言ってたな…

あれがあの占いババアの
いるとこか…」







六人が見上げる先には
怪しく建物が
光輝いていた……