ゴーストスクールとは裏腹に、ここは真っ暗で何も見えない。

窓から零れる月光が縁取るものは、数本の柱だけでガランとしているようだった。



あ、ケータイ。

ケータイどこだろう?


ダメだ全然わからない。

音で探すしかないかな。


「もしも〜し。カスミ?」

「何?」

「うきゃぁぁあぁぃ!?」


突然後ろで声がしたから、ついつい叫んでしまったあたし。


それをクスクス笑うのは。


「よく頑張りました、こまち。」



カスミだった。



「カカカカしゅミ!?カスミ!?」

「落ち着こ〜?こまち。」

「え、あれ、カスミ!?」

「うん。ちなみにここは我が家の神社だよ〜。大丈夫。安心して?」


カスミだ。


さっきまで電話の向こうにいたカスミだ。


影しか見えないけどカスミだ。