それはあまりにも突然な出来事。
いつも慌ただしく生きてきたせいか、今日は何曜日か、そして日にちはいつか。
なども忘れてしまうほどで。

まぁ今日もなんとなく1日を生きてみて、授業もあと一時間だ!という頃。

「さて、皆さん」
先生が話をしようとしても、頬杖をついてぽかーんと口を開けるのはやめようと
しなかった。

なんとなく蒼以に目を向けると、顎はずれんじゃねーかってくらい口を開けて寝
ている。

「…、よだれ」

我が幼なじみである早瀬拓真は視線を下に向けている。
机の下にあるゲーム機らしきものに手を添え、光の速さで操作をしている。

「…、ゲーム」

そして問題児の里匡頼。彼こそダイナマイト。
煙草を手に持つ仕草をしながら、どこか一点を見る。その目は明らかにうつろで
、どこかに行ってしまいそう。

「…、禁断症状」

現在、禁煙活動中である。

もう一人の幼なじみ。
水戸和也はオタク。
アイドルが大好きで今もiPodやらウォークマンやらで聴きながら、脳内では盛り
上がっているんだろう。

「…、モー娘。」


と、いかにも濃いメンバーが揃う中で、俺。五月旬斗は全くもって健全である。

「修学旅行の件についてですが」

その一言と共に、全員が先生に目を向けたのは確か。
後ろの席に座る、彩ちゃんが蒼以を起こそうとする。

と言っても蒼以の隣は俺で。

なかなか起きない怪獣に手を焼く家来。

それを見ているのもいたたまれないので、必殺技を繰り出す。

「蒼以、頼が…、頼が!拓真を…アッ!」

その言葉を小声で放った瞬間、大きな目が覚醒したかのように開いた。

「…、起きた」

覚醒した怪獣は、立ち上がるとともに、反対側の席である頼の元へ歩いた。

「…、やべ」

今は授業中である。