翌日の朝。

あまり、眠れないまま朝を迎えた。


リビングで、隼人の顔を見ながらパンをかじる。

隼人の言葉が頭から離れない。

兄貴が生きてたら。

兄貴が生きてたらこんな事にはならなかった。

いや……これが運命ならば、俺はそれでも藤沢と出会って好きになっていた?



――ピンポーン。

そんな事を考えていたら、うちのインターホンが鳴った。


隼人は立ち上がり、玄関へ向かう。

しばらくして、知ったような声が聞こえる。

美佳……か?


――ガチャ。


「夕斗、おはよー!」

やけにテンションの高い美佳を見て俺は不思議に思った。


「おう」


「今日は、私ひとりじゃないよ?ね、藤沢さん」


「……藤沢?!」


美佳の後ろからヒョコっと姿を見せたのは、少し戸惑い気味の藤沢だった。


「なんで藤沢が……美佳と」


「あー、夕斗驚いてる!」


「いや、驚いてるーじゃねーだろ……何でお前ら」


「さっき、公園の近くで会ったから、私から誘ったの!ね?藤沢さん?」


「うん……美佳さんが一緒に行こうって言ってくれたから」


美佳のテンション。

美佳が藤沢を?

あんなに俺との関係を嫉妬してたのに?

なんだ?

何をたくらんでいるんだ?


「美佳、ちょっと来い」


俺は美佳の腕を掴み、事情を聴くためにリビングを出ようとした。


――バッ。

けど、美佳は俺の腕を振りほどく。


「美……佳?」


「私、夕斗が好き」


「は、はぁ?何急に言ってんだよ!」


ついつい藤沢の顔を窺う。

藤沢は少しこの状況に驚いている。