俺はまだ眠っている街を元気よく走る。


最近引っ越したばかりの遥斗が住むマンションに向かう。


白い塗装の綺麗なマンション。


俺は遥斗が住んでいる6階を見上げた。


そして小さく笑い、遥斗の部屋を目指す。



─…ピーンポーン…


チャイムを押して、俺は遥斗が顔を出すのを待っていた。


だがなかなかドアは開かない。




『遥斗~?』



心配になった俺は、遥斗の名前を呼んだ。


すると俺の声に反応したのか、不機嫌な顔をした遥斗がドアから顔を出した。



『こんな朝から何だよ…』



まだスエット姿の遥斗。

遥斗を見たらなんだか嬉しくなってきた。


俺は八重歯を見せてこう言った。



『遥斗忘れてねぇかなって!今日が入学式だってこと』



『あ?覚えてるよ』



『ならいいけど!』



俺は遥斗の部屋に勝手に入っていく。