なんで…いるの……。

パッと掛け時計を見る。

時刻は、17時過ぎ…。


「…なんで……早く会社に行きなよ…会議でしょ!」

「必要ねぇよ…親父に頼んで来た」

「…っ……」


冷静な低い声で、返される。


「失礼します」


落ち着いた雰囲気のベテラン看護師さんと医師が、病室内に入って来た。

目を覚ましたあたしのバイタルチェックを行い…医師に伝える。


「神崎さん、安静にすると約束して下さるならば、帰宅してもよろしいですよ」

髭を生やしたおじいちゃん先生が、ニッコリ笑顔で告げた。


「はい……。帰ります…」

ペコッと頭を下げると、おじいちゃん先生は、よしよしと頭を撫でる。

そのまま看護師さんと一緒に、病室を出て行った。