「は~就職か」


私の隣で大きなため息をついたのは、大学に入ってすぐに友達になった菜緒ちゃん。


大学3年の秋、突然私たちに突き付けられた就職という問題。


今就職に関する講義を終えて、学生ホールに戻ってきたところ。


席について、貰った資料をパラパラとめくる。


「里穂はさ、就職どうすんの?」


「全然、考えてなかった」


「だよね~」


うーんと唸って、菜緒ちゃんは机に頭を乗せた。


「私さ、里穂」


「うん」


「なんか、大学入って管理栄養士の資格を取ることがゴールだと思ってた。その先の就職のことなんて、ほとんど考えてなかったし」


「私も」


菜緒ちゃんの言うとおり、私も資格を取ることがゴールだと思ってた。