ケータイ小説 野いちご


水音が続く。

咽せるような土の匂い…

剥がれるカサブタ。

鉄の味…



ぼんやりとした記憶があたしを包んでる。



さらさらした黒い髪。

透けるような白い肌。

髪を梳く細い指先…



どこかで。

あたしが混線してる。



大きな水玉の傘。

2人で差して、触れた冷たい手。

並んだ背丈は、そんなに変わらない。


白いカーディガンから柔らかい匂い。



古い記憶?

いいえ。

そんなものは初めからなかったの。



どこにもいない、曖昧な記憶。

あたしを見つめる鋭い視線。



違うわ。

あなたのことは忘れてしまったの。



もうあたしを呼ばないで。




水音が続く。

咽せるような、鉄の匂い…

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