神様って、いると思う?


俺に、そう聞く人間には、必ずこう答えた。


「いるって信じてる人間の心のなかになら」



でもさ、考えてもみろよ。

一体どんだけの人間が、本気で信じてるよ?

それはつまり、いないと思うに同義。


別に、目に見えるものしか信じないなんて、俺は言わんよ。

でも、俺は神様は信じてないんだ。



その存在が、人間には必要なものだから、仕方ないんだよ。

いつも、なんか大事なことを忘れて生きてる気がするからなんだよ。


なんのために生きてるかってさ、そいつが欠けてるからさ、

人間ってやつは不自由なんだよ。


理由があれば何でもいいのさ。



俺たちには、なんだってできるよ。

生きることも死ぬことも、選べるんだよ。

産むことも、殺すことも、選べるんだよ。



だから怖いんだ。

不安なんだよ。

それが、正しい道なのか、何かに辿り着くのか。

道しるべが欲しいんだよ。


だから、神様を作り出したんだろ?

人間の求める理想、心の安定。

誰かに、何かに、許されていたいんだよ。


その道でいい、生きてていい、忘れてていい。

信じてなくてもいい。



ただ、幸せになることを。

笑って暮らすことを。

無条件に誰かが願ってくれることを、求めてんだろ。