──三人は、コルコル族と名乗ったフェネックもどきの案内に従い森の中を歩き始めた。

 ティリスはベリルの持っているバッグに興味があるらしく、チラチラと振り返る。そんな彼女の様子に気が気じゃないのか、リュートは冷たい視線を理不尽にもベリルに向けた。

「そういえば。フェネックってなんですか?」

「キツネの仲間だよ。イヌ科、最小の動物と言われている」

「へえ~」

 感心して前に向き直ると、ティリスは現れたいくつもの影に満面の笑みを浮かべた。

「きゃ~! 可愛い!」

「ティリス! 一人で行くな」

 リュートは再び、駆けていこうとした少女の腕を掴む。

 なるほど、少女の方は好奇心が旺盛で順応性も高いようだ。一方、青年は警戒心が強く少女にはよく世話を焼いている。