──二日目の朝、広場の切り株に何かの生物が描かれたA3サイズほどのクリーム色の紙が広げられた。

「絵師に描いてもらったものです。名前はボナパスと名付けました」

 意味はコルコル族の言葉で<怒りの者>──全身が真っ赤な固い毛に覆われていて、その姿は二つの頭を持つ獅子といったところか。

「大きさはリュート様の二倍ほどです」

「でかいな」とリュート。

「そんなに大きいの?」

「特殊な能力はあるか」

 ベリルの問いかけに、レキナは険しい表情を浮かべた。

「炎を吐きます」

「炎……」

 表情を苦くしてリュートはボナパスの絵を見つめる。

「およそ三メートルとした場合、体長は五メートルほどと推測される。見た目から、動きは機敏だろう」

 ライオンと比較しても、その危険度は数倍以上か。倒すには骨が折れそうだとベリルは小さく唸る。